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医学部受験のためのセンター試験分析2018・地理

文系科目
11 /15 2018
前回にひきつづき、医学部受験生にとってのセンター試験。
今回は地理についてです。
地理といえば、以前は、資料読み取り問題における微妙な(何とでも言える)問題によって、高得点を狙いにくかったです。しかし今回は、そういう問題は少なくなっているようです。図表から素直に読み取れる問題が多いです。高得点が狙えるありがたい科目です。来年どうなるかはわかりませんが。
 
第3問問4 首位都市(国内人口最大の都市)の人口割合と都市人口率から、バングラデシュがどれかを選ぶ問題。人口割合や都市人口率は、過去問でちょくちょく出ていますので、しっかり押さえておきたいところです。
首位都市の率は、インドや中国が非常に小さく、1%程度です。これは人口が多いためで、例えば1000万人都市があっても人口10億人の国では1%になってしまいます。次に、日本・イギリス・フランス・アメリカも首位都市の率は小さいです。国内に有力な都市が多いと、首位都市の占有率は小さくなります。
都市人口率は、1:先進国では高い、2:人口大国では低い、3:就農率と対照的な関係になる、4:砂漠や寒冷地の国だと高くなる、という傾向です。
 
第4問問3 西アジアに関する問題。易しいですが、このレベルの問題が解けるかどうかが、センター地理を選択するかどうかの基準になると思います。
特に問3は、アラブ首長国連邦(UAE)、イスラエル、イラン、レバノンの宗教別人口割合の問題。イスラエルは論外として、「アラブといえばイスラム」程度の知識しかないと太刀打ちできません。常に「第2位」についての知識を意識するようにしたいです。歴史や政治経済の知識も必要になります。イスラム以外の信仰に対する寛容度にも差異があり(イランは厳しく処罰対象ともなるがUAEは寛容、一般に貿易立国は他宗教に寛容)、UAEは南アジアの労働力が大きい、レバノンは歴史的経緯より東方カトリックが有力、という感じです。
なお、問2は誤文を選ぶ問題で、正解(つまり誤文)は(3)ですが、ここで代ゼミが、『ただし、問2の(2)もサウジアラビアの2015年以降の小麦生産量が大きく減少していることから、「適当でないもの」となる可能性を否定できない。』と指摘しています。サウジアラビアは、国策で小麦自給率を100%にしましたが、水資源枯渇の問題で、数年前より小麦生産は大きくストップしています。この地域の農業が国策によって大きく左右されることは知っておくとよいでしょう。
 
第5問問4 話題にもなった、アニメ(ムーミン)と言語の問題。当然、アニメに関する知識を使って解く問題ではありません。バイキングといえばノルウェー、そしてスウェーデンとの言語の相違性(フィンランド語はウラル語族)を考えて解答します。まあ、アニメを選ぶ問題の手掛かりが、作品名と挿絵しかないので、やや厳しいかもしれませんが。
 
対策としては、基礎知識の獲得は当然の上で、さらにたくさんの図表を見慣れておくことです。その際には、歴史の知識を使うことになりますし、宗教・交通についてはある程度細かい知識も知っておくとよいでしょう。

医学部受験のためのセンター試験分析2018・倫政

文系科目
11 /14 2018
前回にひきつづき、医学部受験生にとってのセンター試験。
今回は倫理・政経についてです。今年も易しくなりました。思考問題はかなり素直になり、知識問題もほどほどの知識で何とかなります。8割取れない場合は、基礎知識の習得にまずは励む必要があります。
 
第1問問5 アマーティア・センの「潜在能力」についての問題。倫理分野での誤択は大きく分けて、固有名詞の誤りと主張内容の誤りがあり、後者の方が難問になります(予備校の言い方でいう「理解が求められている」問題)。本問もそれで、センが「潜在能力」を重視したというところは全肢共通ですから、細部まで理解しておかないと得点が取れません。どの選択肢もそれっぽく書いていますから、常識で判断することもできないです。しかしその一方で、アマーティア・センの思想を深く理解しようというのは、理系受験生にとっては酷な要求です。
ざっくりした説明をすると、ロールズが財の再分配を格差是正の観点から是認したのに対して、センは潜在能力の開発・拡大という視点を主張したという流れです。発展とは潜在能力の拡大であり、また自由の拡大へとつながり、そのことが社会の目的であり、財(の分配)は手段である、という感じです。
 
第2問問4 富永仲基は受験生にはなじみがないでしょう。予備校は消去法で解答できるといっていますが、そうなると、消去対象の安藤昌益を正確に理解する必要があります。安藤昌益は問題文の「塾や学校の設立」「儒学や仏教の展開方法」などとは無縁の人物なので(彼は独学で、封建的秩序を批判した人物)、そこを押さえる必要があります。
問6は三宅雪嶺。これも予備校はやや難しいとしています。ただこちらは、参考書などで「三宅雪嶺・国粋主義・雑誌「日本人」主宰」とあります。こういう、固有名詞知識のレベルで解決できる問題は、確実に押さえる必要があります。
 
第3問問5 固有名詞は間違っていないので難しい問題。ブッダは社会的身分に即して行動してはいないし、ホメロスは神話的世界観を批判してはいないし、預言者イザヤは王国を賞賛してはいません。予備校は、イザヤは受験生になじみが薄いと分析しています。それはその通りなのですが、ただ預言者というのは、民衆に対して何かを警告したり改善を求めたりすることが多いので、そこで違和感を持ってほしいところです。あと、正解選択肢に間違いが見当たらないので、そこで決め打ちしてもよいでしょう。
 
第4問問7・8 時事的問題です。電力小売自由化・国家安全保障会議に関する知識ですから、もちろん古い参考書・問題集では対応できません。しかし理系受験生が社会事象の隅々まで興味関心をもって知識を仕入れるというのも難しいですね。誤択にあるスマートグリッドや防衛装備移転三原則なども含めると、ちょっとキツいかもしれません。過去問演習も頼りにならないです。
予備校などでは直前期に対策プリントや冊子などが配布されることもありますが、先生方の熱い想いが強すぎて詳細すぎるものになったりすることもあるようです。余裕がなければ、図録みたいなものをざっと眺める程度でもかまいません。
 
対策について、今回も以前書いたものを再掲します。
類推力などを養うためには、政治経済に関する文章をある程度読んでおくとよいでしょう。とはいっても、医学部受験生は医療に関するものを読むのが優先なので、国際情勢や社会問題などに手を出す余裕はないかもしれません。
ただ、社会的な感覚や知識が極端に足りないと、小論文や面接で手痛い思いをすることになるので、注意が必要です。

医学部受験のためのセンター試験分析2017・倫政

文系科目
01 /07 2018
前回にひきつづき、医学部受験生にとってのセンター試験。
今回は倫理・政経についてです。

20111128-politics-economy-business.jpg 
http://publish.illinois.edu/sahakyan/ から


今回も全体的に問題は易しめでした。
特に、思考推理問題が素直になっているというのはポイントであり、
高得点に向けての勉強がしやすいです。

 
第1問問1。
美術分野の知識問題は少し苦戦するかもしれません。
音楽・芸能を含め、人名と代表作、
簡単な作風を覚える作業は怠らないようにしたいところです。

 
第2問問6。
柳宗悦について、問題が「やや細かい」と評されています。
ここで選択肢に上がっている折口、伊波、九鬼のうち、伊波普猷(いはふゆう)は少し細かいですが、
他は「民芸」「いき」といったキーワードを押さえれば大丈夫です。
この分野では柳田國男はもちろん、南方熊楠、鈴木大拙も重要です。

 
第3問 問1。
今年の倫政は、倫理分野に比較的難問が多かったようです。
問1は正解のパルメニデスがややマイナーであるだけでなく、
誤肢の(1)ヘラクレイトスの「火」「万物流転」や(3)プラトンの「イデア」「二世界」、
(4)マルクス・アウレリウスの「ローマ皇帝」というキーワード自体は合っているのです。
ですので、細かい問題だといえます。正直言って、取れなくても仕方がないレベルかなと思います。
なお、こういうキーワード自体は合っている問題は、
予備校業界用語で「理解が求められている」と呼ばれ、
難問に属します。
問6は、メルロ=ポンティは身体=媒体論、フッサールは意識(認識)記述論、というキーワードで正解を導けます。
しかしフッサールもいろいろなことを述べており(意識記述論は比較的前期の話です)、
易しい題材とはいえません。
新しい思想家は解釈が定まっていないことも多く、それが正解を導くことを難しくしています。

 
第4問 問2。
日英仏の議会議場の様子から、どの国のものかを答える問題です。
予備校によっては「写真」を手掛かりに、という解説もあります。
しかし議場の写真をみてイギリスのものだと答えられる受験生は多くはないでしょう。
ここは議場のつくりを無視して、
「日本の国会は旧憲法下では協賛機関であった」「フランスの議場が左翼右翼の語源となっている」
という説明部分で押さえるほうがよいと思います。
出題趣旨もそこにあると思います。

 
第5問 問4。
出来事(郵政民営化選挙など)の年を覚えていないと正解できない問題、と言われています。
たしかにそうなのですが、しかしグラフをよくみると、
「選挙が影響を及ぼしていると回答した人」は1998年以後ずっと増えており、
そうすると、郵政民営化選挙の細かい年号を覚えていなくても
「最近のこと」程度に覚えていれば大丈夫です。
むしろ誤肢(1)の「小選挙区制の最初の選挙」は1996年ですから、このほうが微妙でしょう。
1999年だと思ってしまうとアウトです。選挙制度や裁判制度については、
新しい情報も含めて丁寧に押さえることが大切です。


対策について、今回も以前書いたものを再掲します。
類推力などを養うためには、政治経済に関する文章をある程度読んでおくとよいでしょう。
とはいっても、医学部受験生は医療に関するものを読むのが優先なので、
国際情勢や社会問題などに手を出す余裕はないかもしれません。
ただ、社会的な感覚や知識が極端に足りないと、
小論文や面接で手痛い思いをすることになるので、注意が必要です。

医学部受験のためのセンター試験分析2017・地理

文系科目
01 /07 2018
前回にひきつづき、医学部受験生にとってのセンター試験。
今回は地理についてです。

Geography.jpg 
http://www.upsctoday.com/best-books-for-geography-for-upsc/ から


地理といえば、資料読み取り問題における微妙な(何とでも言える)問題によって、
高得点を狙いにくいのですが、今回はそういう問題は少なくなっているようです。
図表から素直に読み取れる問題が多いです。
 

第3問問4。
東京圏の人口増加率を示した地図を年代順に並び変える問題ですが、
予備校の指摘通り、図カと図キがよく似ていて難しいです。
どちらも人口増加傾向・都心回帰がみられます。
あえていえばキのほうが人口増加地域が狭いので、キのほうが新しいと答えるのですが、
しかしよく見るとキでも郊外部で人口が増加しています。
内房地区はアクアラインの影響でしょうし、埼玉県北部にある小さな人口急増地は滑川町でしょう
(全国的にも増加率が大きい。
埼玉県は面積の小さな市町が多く、住宅開発で急に人口増加率が高くなることがある)。
慣れてくれば地図をよく見ると、新しいものは平成の市町村合併の影響で塗られ方が粗くなっていたりします
(市町村別に塗られるから)。
しかしそんな感じで読み取れるのは大人の感覚ですから、受験生には厳しいでしょう。


第4問問5。
青海省の経済発展に関する正誤問題ですが、
正肢について河合塾から「シーニンとラサの地名は難しいので、
両者とも地図に記入すべきであろう」とモノ申されています。
確かに鉄道路線(青蔵鉄道)の起点と終点を正誤判断するというのは易しくありません。
なお、青蔵鉄道自体は西部大開発の重要計画の1つですので、知っておくことは大切です。


第5問。
ドイツとスペインの比較地誌。
自然については、スペインは南北ともに海だがドイツは南は山脈、
そしてドイツは森が多く雨が多い、という手掛かりでなんとかします。
農作物についてはブドウの分布が問われています。
フランスの近くの比較的南の方です。問3は大都市の数の地域分布、および日本法人の数についてです。
ドイツは西側に大都市が多く、また地方分権が進んでおり一部地域への集中がみられない、という知識が必要です。

一見すると見慣れない図を作って問題を作るというのはセンター地理の大きな特色であり、
これにどうしても慣れないようであれば選択科目を変更するしかありません。
医学部受験生にとって社会科目選択の基準は「センター試験で点数が取れるか」
という点に尽きるわけですから、過去問の検討は不可欠になります。
そのうえで、地理を選択すると決めたのならば、たくさんの図表を見慣れておくことです。
高校入試プラスα程度の歴史の知識も必須ですし、宗教・交通についての細かい事柄も押さえておく必要があります。

医学部受験のためのセンター試験分析2016・倫政

文系科目
12 /12 2016
前回にひきつづき、医学部受験生にとってのセンター試験。今回は倫理・政経についてです。
2016年は易しい問題が多く、高得点が狙えました。教科書レベルの知識で解ける問題も多く、また、思考問題も大半は素直な推理で解けるものでした。しかし今後はどうなるかはわかりません。理系受験生としては、読みやすい参考書を1冊通読、その後は用語集・一問一答で知識を蓄えながら過去問演習、というオーソドックスな勉強を積み上げていくスタイルでいいでしょう。
 
第1問・問5。コミュニタリアニズムが出題されています。コミュニタリアニズムとは、人間は共同体(コミュニティ)の中でこそ望ましい生き方ができる、というものです。しかし内容について詳しくは知らない、あるいは聞いたことがない、という理系受験生も多いでしょう。本問題は、文章から類推して容易に解けます。
 
第5問。問3は、難民条約について詳細な知識を持っていないという理系受験生も多いでしょうが、難民は「政治的理由で国外に追われた者」であり、迫害のおそれのある場合には送還してはならない、という程度は覚えていてよいでしょう。余裕があれば、難民認定というのは相手国の迫害行為を認めることになるものなので友好国の難民認定は難しく、また、冷戦期に共産圏諸国から西側諸国への難民は積極的に認定された、という流れを知っておくとよいです。問4は、「不法就労者も労働基準法で保護される」と考える必要があります。これを知識で押さえておいてもよいですし(センター試験で過去に出題されています。なお、労働省が当時通達を出しています。)、常識から導いてもよいです。しかしこの常識というのがクセモノで、人によってこの常識が異なるので、「不法就労者を保護する必要なんてない、保護してほしければきちんと手続きして正規の労働者になればよい」と思う人もいるでしょう。実際、法律の試験では、自分の常識が立法者・裁判所の感覚とずれている人は、苦労します。不法就労者を取り締まるのは入国管理局であって雇用主ではないという点、不法就労者に対しては入国管理局に通報するというのが正しい手続きであるという点を考えてみましょう。
 
第6問・問4。NPO法人に関する問題。予備校によっては「一般常識で判断したい」と言っていますが、行政との協働や税の優遇措置というのは、どちらかといえば大人の常識でしょう。理系受験生には厳しいです。過去問や問題集で出てきたときに、1つずつ覚えていくしかないかもしれません。
 
 
対策について書いてみます。まずは基本知識・語句の確認です。あやふやな知識を積み上げても役に立たないので、用語集などを使って正確に覚えていきます。それでもわからない問題に出会ったときは類推や常識を使って切り抜けることになりますが、その類推力などを養うためには、政治経済に関する文章をある程度読んでおくとよいでしょう。
とはいっても、医学部受験生は医療に関するものを読むのが優先なので、国際情勢や社会問題などに手を出す余裕はないかもしれません。ただ、社会的な感覚や知識が極端に足りないと、小論文や面接で手痛い思いをすることになるので、注意が必要です。

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